尖圭コンジローマについて
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染によって、性器や肛門の周囲などにイボができる性感染症です。
イボは白色、薄いピンク色、褐色などで、初めは小さく目立たないこともあります。増加したり集まったりすると、カリフラワー状や鶏のとさか状に見えることがあります。
痛みやかゆみなどの自覚症状がほとんどない場合もありますが、イボの数が増えたり、大きくなったりすることがあります。気になるイボを認めた場合には、自己判断せず泌尿器科へご相談ください。
尖圭コンジローマの原因
尖圭コンジローマは、主にヒトパピローマウイルス(HPV)6型・11型への感染によって発症します。
HPVには多くの型があり、6型・11型は、がんとの関連が低い「低リスク型」に分類されます。一方、16型・18型・31型・33型・45型・52型・58型などは、子宮頸がんや肛門がんなどとの関連がある「高リスク型」に分類されます。
「低リスク型」という名称は、がんとの関連が低いことを意味するもので、感染や再発の可能性が低いという意味ではありません。
主な感染経路は、性行為などによる皮膚や粘膜の性的接触です。挿入を伴う性行為だけでなく、感染部位との直接的な接触によって感染することもあります。
尖圭コンジローマの症状
尖圭コンジローマでは、感染してから数週間から数か月の潜伏期間を経て、性器や肛門の周囲などに小さなイボが現れます。
イボは白色、薄いピンク色、褐色などで、初めは小さく平らな隆起として現れることもあります。数が増えたり集まったりすると、鶏のとさか状やカリフラワー状になることがあります。
男性では、亀頭、冠状溝、包皮、陰茎、陰嚢、鼠径部、肛門の周囲などにみられます。女性では、外陰部、腟、子宮頸部、肛門の周囲などに生じることがあります。
痛みやかゆみなどの自覚症状がほとんどない場合もありますが、イボの大きさや発生部位によっては、かゆみ、出血、違和感などを伴うことがあります。
治療によって目に見えるイボを取り除いても、周囲にHPVが残っている場合があり、治療後に再発することがあります。そのため、治療後も医師の指示に従って経過を確認することが大切です。
性器周辺のイボには、尖圭コンジローマ以外の良性疾患や、梅毒など別の病気が含まれることもあります。市販のイボ治療薬を自己判断で性器に使用すると、皮膚や粘膜を傷める可能性があるため、気になる症状がある場合には泌尿器科へご相談ください。
尖圭コンジローマの検査
尖圭コンジローマは、問診で症状や感染の可能性について確認し、性器や肛門周囲などの病変を視診することで診断できることが多い病気です。
ただし、イボの見た目が典型的でない場合や、診断がはっきりしない場合、出血・潰瘍・硬さなどがみられ、ほかの病気との区別が必要な場合には、病変の一部を採取して顕微鏡で調べる病理組織検査を行うことがあります。
尖圭コンジローマの治療
尖圭コンジローマの治療では、主に目に見えるイボを縮小・除去することを目的とします。
治療方法には、患部に薬を塗る外用療法、液体窒素を用いた凍結療法、電気焼灼、レーザー治療、外科的切除などがあります。イボの数や大きさ、発生している場所、患者さんの状態などを確認したうえで、適切な治療方法を選択します。
治療によってイボがなくなっても、周囲の皮膚や粘膜にHPVが残っている場合があり、治療後に再発することがあります。そのため、治療後も医師の指示に従って経過を確認することが大切です。
よくある質問
尖圭コンジローマは放置しても自然に治りますか?
尖圭コンジローマのイボは、免疫の働きによって自然に消えることがあります。
一方で、治療をしなくても消えるかどうかを事前に判断することはできず、イボがそのまま残ったり、数が増えたり、大きくなったりする場合もあります。また、症状が目立たなくても、ほかの人へ感染させる可能性があります。
性器や肛門の周囲に気になるイボがある場合には、ほかの病気との区別も必要なため、自己判断で放置したり市販のイボ治療薬を使用したりせず、早めに泌尿器科へご相談ください。
尖圭コンジローマは、治療すればすぐに治りますか?
尖圭コンジローマは、1回の治療ですべてのイボがなくなるとは限りません。イボの数や大きさ、発生している場所、治療方法などによっては、数週間から数か月にわたり、繰り返し治療が必要になることがあります。
また、治療によって目に見えるイボがなくなっても、病変周囲の皮膚や粘膜にヒトパピローマウイルス(HPV)が残り、再びイボが現れることがあります。
治療を途中で中断すると、イボが残ったり、十分な治療効果が得られなかったりする可能性があります。症状が改善しても自己判断で通院や治療を中断せず、医師が治療終了と判断するまで、治療と経過を診ていくことが大切です。
尖圭コンジローマと診断された場合、パートナーも受診した方がよいですか?
尖圭コンジローマと診断された場合には、パートナーもヒトパピローマウイルス(HPV)に感染している可能性があるため、診断されたことを伝えましょう。
パートナーに性器や肛門周囲のイボ、かゆみ、違和感などがある場合には、早めに泌尿器科を受診してください。
尖圭コンジローマの治療中や治療後は、性行為を控えた方がよいですか?
はい。イボが残っている間や、治療部位に傷・ただれ・痛みなどがある間は、感染拡大や患部への刺激を避けるため、性行為などの性的接触を控えましょう。
イボがなくなった後も、病変周囲の皮膚や粘膜にヒトパピローマウイルス(HPV)が残り、パートナーへ感染する可能性があります。
性行為を再開する時期については、医師と相談してください。
尖圭コンジローマと診断された場合、日常生活で注意することはありますか?
医師の指示に従って治療を続け、自己判断で薬の使用や通院を中断しないことが大切です。
患部を強くこすったり、イボをつまんだり削ったりすると、出血や炎症を起こす可能性があります。入浴時はぬるま湯でやさしく洗い、刺激の強い石けんや洗浄剤の使用、過度な洗浄は避けましょう。
また、病変がある間や治療部位が治っていない間は、感染拡大を防ぐため性的接触を控えてください。コンドームを使用しても、覆われていない皮膚から感染する可能性があるため、完全に予防できるわけではありません。
パートナーに性器や肛門周囲のイボなどがある場合には、医療機関への受診を勧めましょう。
尖圭コンジローマの再発を予防するには、どうすればよいですか?
尖圭コンジローマは、治療によって目に見えるイボを取り除いても、病変周囲の皮膚や粘膜にヒトパピローマウイルス(HPV)が残り、再発することがあります。現時点では、再発を完全に防ぐ方法はありません。
治療を自己判断で中断せず、医師の指示に従って治療と経過観察を続けることが大切です。治療後に再びイボが現れた場合には、早めに泌尿器科へご相談ください。
HPVワクチンは、新たなHPV感染を予防するためのワクチンです。すでに感染しているHPVや、現在ある尖圭コンジローマを治療するものではなく、治療後の再発を確実に防ぐ効果も確立していません。
ただし、過去に尖圭コンジローマを発症した方でも、まだ感染していないHPV型への感染を予防できる可能性があります。ワクチンを接種していない方や、接種を完了していない方は、年齢や接種歴などに応じて医師へご相談ください。
パートナーに性器や肛門周囲のイボなどがある場合には、医療機関の受診を勧めましょう。感染拡大を防ぐため、病変がある間や治療部位が治っていない間は、性的接触を控えることが大切です。
尖圭コンジローマは放置するとがんへ進行しますか?
尖圭コンジローマそのものが、がんへ進行することは通常ありません。
ヒトパピローマウイルス(HPV)にはさまざまな型があり、尖圭コンジローマの主な原因となるHPV6型・11型は、がんとの関連が低い「低リスク型」に分類されます。一方、子宮頸がんや陰茎がん、肛門がんなどに関連するHPVは、主に別の「高リスク型」です。
ただし、複数のHPV型に同時に感染することはあります。また、見た目だけでは尖圭コンジローマと他の病変を区別しにくい場合もあるため、病変が大きくなる、出血する、治りにくいなど気になる症状がある場合には、泌尿器科へご相談ください。

