尿蛋白を指摘された(尿蛋白陽性)方へ
尿蛋白とは、尿の中に通常より多くのタンパク質が含まれている状態です。
腎臓の病気でみられることがありますが、発熱や脱水、激しい運動などによって、一時的に尿蛋白が陽性になることもあります。
健康診断などで尿蛋白を指摘された場合には、再度尿検査を行い、尿蛋白が持続しているかを確認することが大切です。必要に応じて血液検査などを行い、腎機能や原因となる病気について詳しく調べます。
尿の泡立ちが続く場合には蛋白尿の可能性も
尿は、水分不足で濃くなっている場合や、勢いよく排尿した場合などにも一時的に泡立つことがあります。
一方、尿の泡立ちが繰り返し続く場合には、蛋白尿が関係している可能性があります。
ただし、尿の泡立ちだけで蛋白尿の有無を判断することはできません。泡立ちが続く場合には、尿検査で確認することが大切です。
尿蛋白検査の基準
尿蛋白の検査には、尿試験紙を用いておおよその蛋白濃度を確認する「定性検査」と、尿中に排泄されている蛋白量を詳しく調べる「定量検査」があります。
定性検査では、一般的に(-)、(±)、(1+)、(2+)、(3+)などで判定します。ただし、尿の濃さによって結果が影響を受けるため、1回の定性検査だけで腎臓病の有無や重症度を判断することはできません。
尿試験紙法(定性法)の判定基準
| 判定 | 尿蛋白濃度の目安 |
|---|---|
|
(-) |
15mg/dL未満 |
|
(±) |
約15mg/dL |
|
(1+) |
約30mg/dL |
|
(2+) |
約100mg/dL |
|
(3+) |
約250~500mg/dL |
※判定基準は使用する尿試験紙によって多少異なります。
尿蛋白を指摘された場合には、必要に応じて再検査を行い、尿蛋白/クレアチニン比(UPCR)などを用いて尿蛋白量を定量的に評価します。
尿蛋白の定量には、24時間分の尿を集めて測定する方法のほか、1回の尿から尿蛋白と尿クレアチニンを測定し、尿蛋白/クレアチニン比(UPCR)として評価する方法があります。
尿蛋白(定量法)の判定基準
| 判定 | 尿蛋白量 |
|---|---|
|
正常 |
0.15g/日未満 または 0.15g/gCr未満 |
|
軽度蛋白尿 |
0.15~0.49g/日 または 0.15~0.49g/gCr |
|
高度蛋白尿 |
0.50g/日以上 または 0.50g/gCr以上 |
※上記は、糖尿病性腎臓病以外の代表的なCKDで用いられる蛋白尿区分の目安です。
※糖尿病性腎臓病では、原則として尿アルブミン量や尿アルブミン/クレアチニン比を用いて評価します。
尿蛋白の種類
尿蛋白は、タンパク質が尿中に漏れ出る仕組みによって、いくつかの種類に分けられます。
糸球体性蛋白尿
腎臓で血液をろ過する「糸球体」に障害が起こり、アルブミンなどのタンパク質が尿中に漏れ出る状態です。
IgA腎症などの糸球体腎炎、糖尿病性腎症、腎硬化症などでみられます。
尿細管性蛋白尿
糸球体を通過したタンパク質を再吸収する「尿細管」に障害が起こり、本来は再吸収される小さなタンパク質が尿中に排泄される状態です。
間質性腎炎や薬剤による腎障害などでみられることがあります。
溢流性蛋白尿
血液中に特定のタンパク質が大量に増え、尿細管で再吸収できる量を超えて尿中に排泄される状態です。
代表的な原因として、多発性骨髄腫や横紋筋融解症などがあります。
尿蛋白を指摘される原因
一時的・生理的にみられる尿蛋白
一過性蛋白尿
発熱や激しい運動などによって、一時的に尿蛋白が陽性になることがあります。
このような一過性蛋白尿は、体調が回復した後や運動の影響がない状態で再検査すると、陰性になることがあります。
起立性蛋白尿
起立性蛋白尿とは、横になっているときには尿蛋白がみられず、起きて活動している時間帯に尿蛋白がみられる状態です。主に若年者にみられます。
起床直後の早朝尿では尿蛋白が陰性で、日中の尿では陽性となることが特徴です。
一般的には病的な蛋白尿ではなく、治療を必要としないことが多いですが、尿蛋白が持続する場合には、腎臓の病気がないか確認することが大切です。
尿蛋白の原因となる病気
IgA腎症・糸球体腎炎
IgA腎症などの糸球体腎炎では、腎臓で血液をろ過する「糸球体」に障害が起こり、尿蛋白や血尿がみられることがあります。
自覚症状がないことも多く、健康診断などの尿検査をきっかけに発見されることがあります。
糖尿病性腎臓病
糖尿病が長期間続くことで腎臓が障害され、尿蛋白や腎機能の低下がみられることがあります。
血糖や血圧を適切に管理し、病状に応じて生活習慣の改善や薬物療法を行います。
高血圧に伴う腎障害(腎硬化症)
高血圧が長期間続くことで腎臓の血管に負担がかかり、尿蛋白や腎機能の低下がみられることがあります。
腎機能を守るためにも、血圧を適切に管理することが大切です。
ネフローゼ症候群
大量のタンパク質が尿中へ漏れ出すことで、血液中のタンパク質が減少し、顔や足のむくみ、体重増加などを起こす状態です。
原因となる腎臓病を調べ、病状に応じて薬物療法などを行います。
多発性嚢胞腎
腎臓に多数の嚢胞ができる遺伝性の病気で、時間の経過とともに腎機能が低下することがあります。
高血圧や血尿、腹部の張りや痛みなどを伴うことがあり、超音波検査やCT検査などで腎臓の状態を確認します。
尿路結石(腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石)
尿路結石では、結石による出血で血尿がみられ、それに伴って尿蛋白が陽性になることがあります。
腰背部痛や側腹部痛、血尿などを伴う場合には、尿検査や超音波検査、CT検査などで原因を調べます。
尿路感染症
膀胱炎や腎盂腎炎などでは、尿路の炎症や出血によって尿蛋白が陽性になることがあります。
排尿時痛、頻尿、血尿、発熱などの症状に応じて検査を行い、細菌感染が確認された場合には抗菌薬などで治療します。
尿路上皮がん
膀胱がんや腎盂・尿管がんなどでは、血尿に伴って尿蛋白が陽性になることがあります。
尿蛋白そのものが代表的な症状ではありませんが、血尿などがみられる場合には、尿検査や画像検査、膀胱鏡検査などを組み合わせて原因を調べます。
尿蛋白を指摘されたときの検査
健康診断などでは、尿試験紙を用いて尿蛋白の有無や程度を(-)、(±)、(1+)、(2+)、(3+)などで判定します。
尿蛋白は、発熱や激しい運動、脱水などによって一時的に陽性になることがあるほか、尿の濃さによっても検査結果が影響を受けます。そのため、1回の尿検査だけで腎臓病の有無を判断することはできません。
尿蛋白を指摘された場合には、再度尿検査を行い、必要に応じて尿蛋白定量検査を行います。また、血液検査で腎機能を確認し、症状や血尿などの尿異常に応じて、超音波検査などを追加して原因を詳しく調べます。
尿蛋白を指摘されたときの治療
治療方法は、原因となる病気や腎機能、血圧、糖尿病などの有無によって異なり、生活習慣の改善や薬物療法などを行います。
食事療法
塩分のとり過ぎを控え、腎機能や栄養状態に応じて食事内容を調整します。腎機能の状態によっては、タンパク質やカリウム、リンなどの摂取量を調整することがあります。
自己判断による過度な食事制限は、栄養不足や筋力低下につながることがあるため避けましょう。
運動療法
ウォーキングなどの適度な運動は、体力や筋力の維持、生活習慣病の改善に役立ちます。
体調や持病に合わせて、無理のない範囲で行いましょう。
薬物療法
尿蛋白の程度や腎機能、血圧、糖尿病などの状態に応じて、尿蛋白を減らしたり、腎機能の低下を抑えたりするための薬物療法を行うことがあります。
糸球体腎炎などでは、病気の種類によってステロイド薬や免疫抑制薬などの専門的な治療が必要になる場合があります。
専門的な検査や治療が必要と判断した場合には、腎臓内科などの適切な医療機関をご紹介いたします。
よくある質問
尿蛋白がある場合、ほかにどのような症状がみられますか?
尿蛋白とともに血尿が出ているのですが、原因は何ですか?
尿蛋白を放置すると、人工透析が必要になりますか?
尿蛋白を指摘されたからといって、必ず透析が必要になるわけではありません。 ただし、尿蛋白が持続し、原因となる腎臓病が進行すると腎機能が低下し、将来的に透析治療が必要になることがあります。 尿蛋白を指摘された場合には放置せず、原因を確認し、必要に応じて治療や血圧・血糖などの管理を行うことが大切です。
尿蛋白を指摘された場合、日常生活で注意することはありますか?
原因となる病気や腎機能によって注意点は異なりますが、脱水を避け、塩分のとり過ぎを控え、血圧や血糖、体重などを適切に管理することが大切です。
水分は持病や腎機能に応じて適切に摂取し、運動は無理のない範囲で行いましょう。また、自己判断で極端な食事制限を行ったり、市販の解熱鎮痛薬を長期間使用したりしないよう注意してください。
尿蛋白を指摘された場合、禁酒する必要がありますか?
尿蛋白があるからといって、必ずしも禁酒する必要はありません。
ただし、過度な飲酒は血圧や血糖などに影響することがあるため、飲みすぎを避け、腎機能や持病に応じた適度な飲酒を心がけましょう。

