巻き爪・陥入爪について
巻き爪と陥入爪は混同されることが多い爪のトラブルですが、それぞれ異なる状態です。
「巻き爪」は、爪の片側または両側が内側に強く湾曲した状態です。特に足の親指に多くみられます。爪が湾曲しているだけで痛みや炎症がない場合もありますが、湾曲が強くなると周囲の皮膚を圧迫し、靴を履いたときや歩行時に痛みを生じることがあります。
一方、「陥入爪」は、爪の角や側縁が周囲の皮膚に食い込み、痛みや赤み、腫れなどの炎症を起こしている状態です。症状が進行すると、出血しやすい肉芽が形成されたり、細菌感染を伴って膿が出たりすることもあります。
巻き爪と陥入爪を同時に発症することもありますが、爪が強く湾曲していなくても、深爪などをきっかけに陥入爪を起こすことがあります。
巻き爪
巻き爪の原因
巻き爪は一つの原因だけで起こるものではなく、さまざまな要因が関係しています。
主な原因として、つま先の狭い靴やハイヒールなどによる圧迫、足に合わない靴の使用、歩行量の低下、足の指に適切に体重がかからない歩き方、外反母趾などの足の変形、加齢、爪や足趾の形などが挙げられます。
また、爪白癬(爪水虫)や乾癬などによって爪が厚くなったり変形したりすることが、巻き爪に関係している場合もあります。
爪にはもともと内側へ湾曲しようとする性質がありますが、通常は歩行時に足の指が地面から受ける力などとのバランスによって形が保たれています。このバランスが崩れることも、巻き爪が生じる要因の一つと考えられています。
巻き爪の症状
軽度の巻き爪では、爪が湾曲しているだけで痛みなどの症状がない場合もあります。
湾曲が強くなると、爪の両端が周囲の皮膚を圧迫し、靴を履いたときや歩いたときに痛みを感じるようになることがあります。
痛みを避けるために足の親指を十分に使わない歩き方になると、さらに足の指に適切な力がかからなくなり、巻き爪が悪化する場合もあります。
また、湾曲した爪が皮膚に食い込むことで陥入爪を合併し、赤みや腫れ、出血、肉芽形成などを生じることもあります。
巻き爪の検査・診断
巻き爪の診断では、爪の湾曲の程度や形状、痛みの有無、周囲の皮膚に炎症がないかなどを確認します。
また、普段履いている靴や爪の切り方、歩行の状態、外反母趾などの足の変形についても確認します。
爪が厚くなっている、白色や黄色に濁っている、もろくなっているなどの症状がみられる場合には、爪白癬など別の病気が爪の変形に関係していないかを確認します。
爪白癬が疑われる場合には、必要に応じて爪の一部を採取して顕微鏡検査などを行います。
巻き爪の治療
巻き爪の治療は、爪の湾曲の程度、痛みの有無、陥入爪を合併しているかどうか、爪の厚さや形状などを確認したうえで選択します。
症状が軽い場合には、正しい爪の切り方や靴の選び方についてご説明し、爪や足に過度な負担がかからないようにします。
爪の湾曲が強い場合や、爪の圧迫によって痛みを生じている場合には、巻き爪矯正具を用いた治療を検討します。
当院では、巻き爪の矯正治療として「巻き爪マイスター」を使用します。
巻き爪マイスター(自費診療)
巻き爪マイスターは、超弾性合金ワイヤーの弾性力を利用して、湾曲した爪を徐々に矯正する医療機器です。
器具の両端にあるフックを爪の左右の側縁にかけ、持続的に爪を持ち上げる力を加えることで、爪の湾曲を改善していきます。
皮膚を切開する必要がなく、爪に穴を開けずに装着できることが特徴です。
爪の状態や大きさに応じて適切なサイズの器具を選択し、装着後は爪の伸びや湾曲の改善程度を確認しながら治療を行います。
巻き爪の程度や爪が伸びる速度には個人差があるため、複数回の治療が必要となることがあります。
装着中も基本的には日常生活や入浴が可能ですが、強い衝撃によって器具が外れたり、爪が割れたりすることがあるため注意が必要です。
また、爪の状態によっては巻き爪マイスターを装着できない場合があります。診察で爪の状態を確認したうえで、治療が可能か判断します。
巻き爪マイスターによる矯正治療は自由診療となります。
主なリスク・副作用
巻き爪マイスターによる治療では、装着時や装着後の痛み・違和感、爪の割れや欠け、出血、爪周囲の皮膚の炎症、器具のずれや脱落などが生じることがあります。
また、一度爪の湾曲が改善しても、爪の性質や足の形、歩行、靴による圧迫などの影響によって再び巻き爪を生じる場合があります。
費用
| 内容 | 料金(税込) |
|---|---|
| 初診料+処置代 | 5,000円 |
| 巻き爪マイスター | 3,300円 |
| リネイルゲル | 3,300円 |
| 再診料+処置代 | 3,000円 |
※初診時に巻き爪マイスターを使用する場合は、初診料・処置代とは別に巻き爪マイスターの料金がかかります。
※リネイルゲルを使用する場合は、別途3,300円(税込)がかかります。
※再診時に新しい巻き爪マイスターへの交換やリネイルゲルを使用する場合は、再診料・処置代とは別にそれぞれの料金がかかります。
陥入爪
陥入爪について
陥入爪とは、爪の角や側縁が周囲の皮膚に食い込み、痛みや炎症を起こしている状態です。
特に足の親指に多くみられ、初期には爪の周囲に軽い痛みや赤みが現れます。
症状が進行すると腫れが強くなり、出血しやすい肉芽が形成されたり、細菌感染を伴って膿が出たりすることがあります。
巻き爪と陥入爪は同時にみられることがありますが、巻き爪がなくても陥入爪を発症することがあります。
陥入爪の原因
陥入爪の代表的な原因の一つが深爪です。
特に爪の角を深く切り込むと、爪の端に小さな棘のような部分が残り、その爪が伸びる際に周囲の皮膚へ食い込むことで、痛みや炎症を引き起こすことがあります。
痛みを取ろうとして食い込んでいる爪をさらに深く切ると、一時的には痛みが軽減しても、爪が伸びた際に再び皮膚へ食い込み、陥入爪を繰り返す原因となります。
そのほか、つま先の狭い靴や足に合わない靴による圧迫、スポーツなどによる繰り返しの刺激、足や爪の形なども発症に関係します。
陥入爪の症状
初期には、爪の端に軽い痛みや赤み、腫れなどが現れます。
症状が進行すると、歩行時や靴を履いた際の痛みが強くなり、爪の周囲に肉芽が形成されて出血しやすくなることがあります。
さらに細菌感染を伴うと、強い赤みや腫れ、熱感、膿などがみられることがあります。
陥入爪の検査・診断
陥入爪は、基本的には問診と診察によって診断します。
爪がどの部分で皮膚に食い込んでいるか、赤みや腫れ、痛み、出血、肉芽、膿などがないかを確認します。
また、巻き爪を合併しているかどうかや、爪白癬など爪の変形を引き起こす別の病気がないかについても確認します。
陥入爪の治療
陥入爪の治療では、皮膚に食い込んでいる爪による刺激を軽減することが重要です。
症状が軽い場合には、正しい爪の切り方をご説明するとともに、症状に応じてテーピングなどの保存的な治療を行います。
テーピング法では、爪に接触している皮膚をテープで爪から離れる方向へ引っ張り、爪と皮膚との接触を減らします。
症状によっては、爪と皮膚との間に綿などを挿入して刺激を軽減する方法や、爪と皮膚との間に細いチューブを挿入して皮膚を保護するガター法などを行うことがあります。
細菌感染を伴っている場合には、症状に応じて抗菌薬の外用や内服を行うことがあります。
ただし、抗菌薬だけでは爪が皮膚に食い込んでいる状態そのものは改善しないため、爪による刺激を軽減する処置をあわせて行うことが重要です。
陥入爪に巻き爪を合併しており、爪の湾曲を改善することが適切と判断した場合には、巻き爪マイスターによる矯正治療をご提案することもあります。
炎症や肉芽形成が強い場合や、保存的な治療を行っても繰り返す場合には、爪の状態に応じて処置を行います。より専門的な治療が必要と判断した場合には、連携する医療機関をご紹介します。
巻き爪・陥入爪を予防するために
巻き爪や陥入爪を予防するためには、適切な爪の切り方と靴選びが大切です。
足の爪は短く切りすぎず、足の指の先端と同じ程度の長さを残すようにします。
爪の両端を深く切り込まず、先端をできるだけ直線的に切り、角を少し残した「スクエアオフ」と呼ばれる形を意識しましょう。
すでに爪の端が皮膚に食い込んでいる場合には、痛みを取ろうとして爪の角を深く切ると症状が悪化する可能性があるため、無理に切らないようにしてください。
靴は、つま先が狭すぎず、足の指が強く圧迫されないものを選びます。一方で、大きすぎる靴も靴の中で足が動いて爪に負担がかかる場合があるため、ご自身の足に合ったサイズの靴を選ぶことが大切です。
よくある質問
巻き爪と陥入爪は同じものですか?
同じものではありません。
巻き爪は、爪そのものが内側に強く湾曲した状態です。一方、陥入爪は爪の端が周囲の皮膚に食い込み、痛みや炎症を起こした状態です。
巻き爪によって陥入爪を起こすこともありますが、深爪などによって、爪がほとんど湾曲していない方でも陥入爪を発症することがあります。
巻き爪は痛みがなくても治療した方がよいですか?
爪が湾曲していても、痛みや炎症などがなく日常生活に支障がない場合には、必ずしもすぐに矯正治療が必要とは限りません。
ただし、湾曲が徐々に強くなっている場合や、靴を履いたときに痛みがある場合、皮膚への食い込みがみられる場合には一度ご相談ください。
市販の巻き爪矯正グッズを使用しても大丈夫ですか?
軽度の巻き爪を対象としたさまざまな市販品がありますが、爪の状態に合わない器具を使用すると、爪が割れたり周囲の皮膚を傷つけたりする場合があります。
特に痛み、赤み、腫れ、出血、膿、肉芽などがみられる場合には、自己判断で矯正せず皮膚科へご相談ください。
また、糖尿病や足の血流障害などの基礎疾患がある方は、小さな傷から感染などのトラブルにつながることがあるため、ご自身で処置せず医師へご相談ください。
爪が皮膚に食い込んで痛みがあります。入浴しても大丈夫ですか?
通常は入浴していただいて問題ありません。
患部はやさしく洗って清潔に保ち、入浴後は水分をしっかり拭き取ってください。
ただし、処置を受けた直後などは注意事項が異なる場合がありますので、医師から指示がある場合にはその指示に従ってください。
巻き爪や陥入爪は子どもにも起こりますか?
はい。子どもにも巻き爪や陥入爪は起こります。
爪の切り方や足に合わない靴、スポーツなどによる繰り返しの刺激が関係することがあります。
痛みや赤み、腫れなどがみられる場合には、無理に爪の角を切り込まずに皮膚科へご相談ください。
巻き爪や陥入爪は再発しますか?
一度改善しても再発することがあります。
爪の形や足の骨格、歩行の状態、靴による圧迫などさまざまな要因が関係しているため、治療後も正しい爪の切り方や靴選びを続けることが大切です。
巻き爪マイスターによる矯正後も、爪の性質などによって再び湾曲してくる場合があります。
痛みや腫れがある場合には、早めに受診した方がよいですか?
痛み、赤み、腫れ、出血、膿、肉芽などがみられる場合には、早めに皮膚科へご相談ください。
特に、痛みを取ろうとして食い込んでいる爪をさらに深く切ると、一時的には楽になっても、その後陥入爪が悪化したり繰り返したりする原因となることがあります。
足の爪はどのように切ればよいですか?
足の爪は短く切りすぎないことが大切です。
足の指の先端と同じ程度の長さを残し、爪の先端をできるだけまっすぐに切ります。爪の両端を深く切り込まず、角を少し残した「スクエアオフ」と呼ばれる形がおすすめです。
すでに陥入爪を起こしている場合には、無理に爪の角を切らずに皮膚科へご相談ください。
巻き爪マイスターは保険適用ですか?
巻き爪マイスターを使用した巻き爪矯正治療は、保険適用ではなく自由診療となります。
一方、陥入爪による炎症や感染などに対する診察や処置については、症状や治療内容に応じて保険診療となる場合があります。

